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【6種のゾウ】日本では全種に会える!見分け方を写真で解説。【アジアゾウ・アフリカゾウ・マルミミゾウ】

皆さんは「ゾウ」というとどんな姿を思い浮かべますか?大きくて、鼻が長くて、牙が生えていて…。

ゾウは大きく分けると3種類、亜種を含めると6種類もの種が存在するんですよ(絶滅した種を除く)。

この記事ではゾウの種ごとの細かな違いを紹介していきます。皆さんの近くにある動物園のゾウはどの種に当てはまるでしょうか?

ゾウの分類について

(Wikipediaより)

ゾウは、古くから「アフリカゾウ」「アジアゾウ」に分類されてきました。アフリカゾウはアジアゾウよりもはやくに存在し、約800万年前からアフリカ大陸で化石が見つかっています。

アジアゾウはマンモスに最も近い種とされ、その起源は約500万年前にさかのぼります。

そして近年アフリカゾウの仲間の「マルミミゾウ」が独立した種であるとされたため、ゾウは「2属3種」であるといわれるようになりました。

3種の違いを徹底解説!

(アジアゾウの「サニー」(いしかわ動物園))

アジアゾウ、アフリカゾウ、マルミミゾウの3種の違いを解説していきます。

違いを知るポイントは生息地、体つき、耳、頭、口、鼻、蹄(爪)、性格(人との関わり)

生息地

(アジアゾウの生息地(Wikipediaより)

生息地は、その名前からも予想できますね。アジアゾウはアジア、アフリカゾウはアフリカです。

細かく言うと、アジアゾウはインド、インドネシア(スマトラ島、ボルネオ島)、カンボジア、スリランカ、タイなどの、アジアの13の国に分布しています。熱帯から亜熱帯にかけて広がる森林やサバンナ、草原などで暮らします。

アジアゾウは食物を求めて1日のほとんどを移動に費やし、その範囲は約300平方キロメートルに及びます。

アジアゾウは生息地によって、インドゾウ、スリランカゾウ(セイロンゾウ)、スマトラゾウ、ボルネオゾウの4つの亜種に分けられます。4種の中での違いは、生息地のほかに体の大きさ、体色、肋骨の数などがあります。
※大型で体色が濃いのがスリランカゾウ、小型で体色が薄いのがスマトラゾウ など

(スマトラゾウの「アスワタマ」(群馬サファリパーク))

日本では、スマトラゾウは群馬サファリパーク、ボルネオゾウは福山市立動物園でのみ会うことができる貴重な種です。

ボルネオゾウは一頭だけ。「ふくちゃん」という名前の、髪の毛が可愛い女の子です。

(アフリカゾウの生息地(Wikipediaより))

アフリカゾウの生息地はアフリカ西部、中部、南部の開けた森林やサバンナ。植物が育たなくなる乾季は特に広い範囲を移動する必要があり、約3700平方キロメートルに及ぶこともあります。

(マルミミゾウの生息地(Wikipediaより))

そして、アフリカゾウの亜種と考えられていたマルミミゾウは別名「シンリンゾウ」とも呼ばれ、アフリカ西部から中部にかけての熱帯雨林に生息しています。

生息地によって天敵も異なります。ゾウは大人になればめったに襲われることはありませんが、アフリカゾウやマルミミゾウはライオン・ハイエナなど、アジアゾウはトラなどに襲われる危険があります。

ただ、3種とも象牙を狙う人間が一番の天敵であることは間違いありません。

体つき

3種の中で最も大きいのはアフリカゾウ。アフリカゾウは陸上最大の哺乳類で、推定体重が10トンを超えた個体も。体長は6mを超えます。

一方最も小柄な種はマルミミゾウ。体重・体長はアフリカゾウの半分~3分の2ほど。森林の中でも移動しやすいためではないかといわれています。

アジアゾウはその中間くらいです。

アフリカゾウ・マルミミゾウはが盛り上がっていて、お腹は後肢に向かって斜めになっています。一方アジアゾウは、お腹も背中も中心が盛り上がっていて、丸いシルエット

アフリカゾウは毛が短く、パッと見ただけではほとんどわかりません。一方、アジアゾウは茶色の長い毛が生えています。アジアゾウに限らず熱帯雨林に住む動物の特徴として、毛が長いけれども密には生えていない点が挙げられます。木の枝葉の間を進む際に体を保護したり、スコールで皮膚が濡れないように守っていると考えられます。

(インドゾウの「ラスクマル」(よこはま動物園ズーラシア))

また、体色についてはどの種も灰色や褐色ですが、アジアゾウは年齢とともに色素が薄くなる傾向があります。

耳については、3種とも異なります。

マルミミゾウは、その名の通り丸い耳。耳を閉じると、両耳が背中で交わります。

アフリカゾウの耳は、巨大な三角形!大きな耳は放熱や体温調節などに役立つと考えられています。

一方アジアゾウの耳は比較的小さく、四角形に近い形をしています。

頭の形は、アジアゾウとアフリカゾウで大きく違います。

アジアゾウは頭にこぶのようなでっぱりが2つありますが、アフリカゾウとマルミミゾウの頭は平らです。

(アジアゾウの「ウタイ」(上野動物園))

「凹」の形と長い毛のせいか、アジアゾウの頭にはよく砂や植物が乗っています(笑)

(アフリカゾウはメスの「リカ」。メスでも立派な牙を持ちます。)

口にも種の違いがたくさん表れています。

まずは「象牙」とも呼ばれる。一般にアフリカゾウの牙が最も長く、3m以上になることも(牙が立派なオスのゾウを『Big Tusker』、メスを『Iconic Cow』と呼びます)。オス・メスともに長く伸び、先端は上を向くことが多いです。

日本の動物園にいるアフリカゾウのオスは3頭。その中では、八木山動物公園(仙台市)の「ベン」の牙が特に立派です。

マルミミゾウのオスの牙も長く伸びることが多いですが、生え方はに向かってほぼまっすぐ。

一方、アジアゾウは比較的短く、オスでも2m以下が普通で、メスはさらに短く、外部からは見えないといわれています。また、オス・メスともに牙が生えない個体もいます。

王子動物園(神戸市)のアジアゾウ「マック」や、金沢動物園(横浜市)のインドゾウ「ボン」は、アジアゾウの中でもとても立派な牙を持っています。

アジアゾウはマンモスに最も近い種。その片鱗を感じますよね。

次に下唇にも注目!アフリカゾウ・マルミミゾウは丸く短い形をしています。アジアゾウは細長い三角形で、口を開けると突出して見えます。

アジアゾウは横から見ると笑っているように見えます。
実は、ゾウは口を完全に閉じるのが難しい動物なんですよ。

(臼歯のイラスト)

最後に臼歯。アフリカゾウ・マルミミゾウの臼歯にはひし形模様が、アジアゾウの臼歯には楕円模様がたくさん並んでいます。3種とも植物食ですが、なぜ歯の形が異なるのでしょうか。

なかなかゾウの口の中をじっくり見ることは難しいですが、ゾウがごはんを食べているときはぜひ観察してみてください。

ゾウの体で最も特徴的な部位といえば、鼻ですよね。

その鼻先には「指状突起」と呼ばれる突起があります。

アフリカゾウ・マルミミゾウは上下に1つずつ指状突起がありますが、アジアゾウは上側の1つだけ。アフリカゾウ・マルミミゾウのほうが物をつかみやすい構造になっています。

アジアゾウを観察しているときに気づいたのですが、アジアゾウは鼻で物をつかむというより、鼻を物に巻き付けて、指状突起で支えながら持ち上げているように見えました。それぞれの種が巧みに鼻を使っていることがわかります。

また、アフリカゾウ・マルミミゾウはアジアゾウより鼻のシワが多く、溝が深いことも特徴。乾燥したアフリカの大地では、ときどき降る雨から得られるわずかな水分を最大限に生かす必要があります。このシワは、水分を早く全体に行きわたらせる効果があるのです。また、表面積を大きくして、血液が多く流れている鼻の熱を効率的に放出する効果もあります。アジアゾウは湿潤な地域で暮らしているため、アフリカゾウほど鼻のシワが多くないというわけです。

蹄(爪)

(ゾウの蹄の数は、さまざまな方向から見て数える必要があります。)

ここまで3種のゾウの違いを見ていくと、アフリカゾウとマルミミゾウの間には生息地や身体的特徴の共通点がとても多いことがわかりますね。

では、マルミミゾウとアジアゾウの共通点は?
…2種の唯一と言ってもいい共通点は「蹄(爪)の数」です。

マルミミゾウとアジアゾウの蹄の数は、前肢が5本、後肢は4本の合計18本。

アフリカゾウは前肢4本、後肢3本の合計14本です。

※個体によって異なる場合があります。

蹄の数が同じこと・違うことは、何を意味するのでしょうか…。

実は、蹄の数は違っても、3種とも指の骨は前後に5本ずつあります。ますますなぜ蹄の数が違うのか、不思議に思いますね。

性格(人との関わり)

(インドゾウの「ラスクマル」(よこはま動物園ズーラシア))

3種のゾウは性格も少しずつ異なります。

アジアゾウは、比較的温厚で、人に馴れやすいといわれています。そのため昔から人が乗ったり、ショーのために調教されたりしてきました。品種改良せずに野生種のそのままの遺伝子で人間と共存しているため、家畜化されているわけではないと言えるでしょう。

(アフリカゾウの「アイ」(東武動物公園))

それに対してアフリカゾウは、一般的に気性が激しく神経質で、人間にもなかなか馴れないといわれています。動物園のアフリカゾウは、人と時間をかけて信頼関係を築いてきたのです。

(マルミミゾウの「ダイ」(安佐動物公園))

そして、マルミミゾウはアフリカゾウと比べると、ある程度は人間に馴れるといわれています。かつて北アフリカでは「戦象」として使用された時代もありました。

もちろん性格は個体ごとに異なりますが、動物園のゾウは、優しく温厚なイメージがありますよね。そのイメージを持ったまま、野生のゾウの映像を見ると驚くことがあります。

本来のゾウは、種にかかわらずとても危険な動物なのです。興奮状態のゾウは、鋭い牙を振り回し、大きな体で踏みつけてきます。それによって、年間500人以上の死傷者を出しているという話もあります。

復讐心が強く、一度怒りを買うとしつこく攻撃をしかけてくるゾウもいます。

ゾウは私たち人間の命を奪うこともできる存在ですが、そんなゾウたちの数を減らし続けてきたのは、人間です。動物園の姿だけがゾウの全てではないこと、ゾウは守っていくべき存在であることを、たくさんのゾウの姿を記すことでお伝えしたいと思います。

日本にいる貴重なゾウたち

(スリランカゾウ(アジアゾウ)の「ヴィドゥラ」(東京都多摩動物公園))

今回はゾウの種ごとの違いについて、詳しく紹介してきました。

(アフリカゾウの「媛」「砥愛」(愛媛県立とべ動物園))

皆さんの近くの動物園には、どのゾウが暮らしていますか?愛媛県出身の筆者は、とべ動物園で暮らすアフリカゾウのこと、かつていたアジアゾウのことを思い出します。

(インドゾウ(アジアゾウ)の「太郎」(愛媛県立とべ動物園)※太郎は2013年に亡くなりました。)

日本では、アジアゾウ、アフリカゾウ、マルミミゾウ、そしてアジアゾウの亜種4種(インドゾウ、スリランカゾウ(セイロンゾウ)、スマトラゾウ、ボルネオゾウ)すべてを、動物園で見ることができます。

本来ならば一つの国に集まることはあり得ない6種のゾウたちを実際に見て、深く理解することができるのは本当にありがたいことなのです。

一つの施設に、2種のゾウを展示してあるところもあります。

中でも2種が近い展示場にいて、違いを見分けやすい「安佐動物公園」(広島県)の3頭のゾウについて、次回の記事では紹介したいと思います。

今回の記事で紹介した「マルミミゾウ」は、安佐動物公園でしか見ることができません。マルミミゾウ2頭の繁殖に向けた取り組みについても紹介します。

文章・画像/名月子店(めいげつこてん)

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