人にも動物にもやさしい環境,いしかわ動物園
いしかわ動物園は平成11年10月9日,辰口丘陵公園にオープンしました。23ヘクタールの敷地内は,自然の地形を生かした中に動物たち本来の生息環境を再現しています。「楽しく,遊べ,学べる動物園」を基本コンセプトとして,訪れるすべての人に対してバリアフリーであるように,また動物たちにとっても快適な場所となるように,そして地球環境にも負荷をあたえないような動物園づくりをめざしている施設です。
(参考:いしかわ動物園公式サイトhttps://ishikawazoo.jp/sp/information/gaiyo/index.html)
大好きな毛布を使いこなす癒しの天才,オランウータンのドーネ
はじめに紹介するのは,ボルネオオランウータンの女の子「ドーネ」。1996年生まれの26歳(推定)です。ドーネは1999年6月にいしかわ動物園にやってきて以来,23年間多くの人たちに愛され続けています。
ドーネに会えるのは「オランウータンの森」の屋外展示場。さっそく会いに行ってみます。
(「オランウータンの森」案内 いしかわ動物園公式サイト:https://ishikawazoo.jp/guide/animal/orang.html)
ドーネのすきなもの
オランウータンの森に到着すると,何やら毛布を深々とかぶった動物らしきものが…。そう,この子がドーネです。近くにはたくさんの人たちが集まっており,すぐにドーネが人気者であることが分かりました。
この日は少し気温が低かったため,最初にこの光景を見たとき「なぜ毛布をかぶっているのだろう?寒いのかな?」と思いました。そしてこの何とも言えないほんわかとした哀愁を感じる背中(毛布)…すでに可愛くて癒されます。
実はドーネは,“毛布が大好き”なのです!
それはいしかわ動物園公式Twitterで,ドーネと毛布についてのエピソードが紹介されているほどです。なんと,夏でも冬でも毛布を肌身離さず。
▼いしかわ動物園公式Twitterより:「ドーネと毛布」
▼いしかわ動物園公式Twitterより:新しい毛布をもらったドーネ
飼育員さんや来園者から毛布をもらっているドーネ。自分のにおいが付いた毛布より,新しい毛布が好きなのが面白いですね。これまでいくつの毛布をもらい,いくつの毛布をビリビリに破いてきたのでしょう(それは考えないでおきましょう)。寝室に持ち帰るのもとても可愛いですね。たくさんの毛布に囲まれて寝ているドーネを想像するとほっこりします。
ドーネの正面に回ると,思ったより目の前で顔を見ることができました(ときどき顔がガラスに当たっていました)。毛布が落ちないようにしっかり握って,時おり正しい位置(?)にかぶりなおす姿はとてもいとおしくて癒されると同時に,ドーネの毛布への愛着(執念)を感じました。
しばらく見ていると,何の前触れもなく突然立ち上がったドーネ。その足元には,毛布②が!毛布が落葉に擬態していて気づきませんでした。
そして毛布①はかぶったまま,毛布②はズッ…ズッ…と引きずりながら歩いていき…
向こう側の,これまたガラスに顔がつきそうな位置に着席。
…!?
なんとドーネは引きずっていた毛布②を床に敷いてから座ったのです!この行動にはとても驚きました。先ほど立ち上がった時は偶然毛布②がそこにあったのかと思いましたが,ドーネが自分で敷いていたのですね。人間でいう座布団のような感じでしょうか。
ドーネは毛布が大好きなだけでなく,毛布に役割を与えることもできる天才です!
※毛布②の役割は「座布団」で…,毛布①の役割は…何でしょう。顔を隠して正面に来てもらうためのもの…?だとしたらドーネは「あざとい」ですね(完全なる推測です)。
ドーネがかぶった毛布の中から子どもたちをじっと見つめている様子を見て,「もしかしてドーネは,ガラスの反射を防ぐために毛布をかぶっているのかも…?」と思いました(少なくとも「あざとい」説よりは可能性が高そうですね)。
どちらにせよ天才!
ドーネからのおくりもの
ドーネにたくさん癒してもらった記念にツーショットを撮りました。するとドーネは撮影に満足してくれたのか,大拍手をおくってくれました。日本らしく,シッティングオベーションで。
ボルネオオランウータンは国内に30頭ほどしかいません。いしかわ動物園はほかの動物園と協力しながら,繁殖活動に取り組んでいます。
参考資料1:国内のオランウータンの相関図(血縁関係など)https://zoozoodiary.com/charts/bornean-orangutan/
参考資料2:IUCNレッドリスト ボルネオオランウータンは「深刻な危機(CR)」として登録。
https://www.iucnredlist.org/ja/species/17975/123809220
参考資料3:いしかわ動物園情報誌『アニマルあいず』「ドーネの婚活ふりかえり(p.4)」
https://ishikawazoo.jp/eyes/pdf/animaleyes19-2.pdf
王の風格を纏いし黄金の瞳,ライオンのクリス
次に紹介するのは,ライオンのオス「クリス」。2009年生まれの13歳です。
クリスは「爽やかイケメン」としてテレビ番組で紹介されたこともある,大人気のライオンです。
▼爽やかイケメン・クリス[いしかわ動物園]『ZOO-1グランプリ』11/30(火)【TBS】
そんなクリスには,「ネコたちの谷」で会うことができますよ。
(「ネコたちの谷」案内 いしかわ動物園公式サイト:https://ishikawazoo.jp/guide/animal/cat.html)
「強さの証」を持っているクリス
オスライオンには,強さの基準があります。クリスはその基準を満たしていて,とても強いオスライオンだと言うことができます。クリスの迫力ある写真を見ながら,強さの基準とは何か,考えてみてください。
ヒントは「たてがみ」です。
答えは,たてがみの「色が濃い」ことです。
オスライオンは敵を倒して自信がついたときに,テストロンというホルモンが分泌されます。そのテストロンが,オスのたてがみを長く,黒くしていると考えられています。
(参考:「ライオンのたてがみの色はそれぞれ違う?色にも意味がある!?」(生き物NAVI)https://livingthing.biz/archives/10267)
メスは強い子どもを生むために,より強いオスの遺伝子を求めるのですが,そのときにメスは,黒いたてがみを持つオスを好みます。濃い色のたてがみを持つオスは,より強く,長生きする傾向があるからです。濃い色のたてがみはライオンの強さ,そして健康の証なのですね。
またオス同士では,相手がどのぐらい強いかをたてがみの立派さで判断しています。それによって,無駄な争いを避けることもできます。
(参考:「ライオン・知られざる生態 生存の危機」【BS朝日】
https://archives.bs-asahi.co.jp/bbc/na_61_02.html#:~:text=%E5%AE%9F%E9%9A%9B%E3%81%AB%E6%BF%83%E3%81%84%E8%89%B2%E3%81%AE,%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%B2%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%86%E3%80%82)
クリスには頭・首から胸や肘のあたりまで,色の濃いたてがみがしっかりと生えています。敵をたくさん倒すことのできない動物園の中でこんなに立派なたてがみをたくわえることができたのは,いしかわ動物園がクリスを可能な限り自然に近づけた環境で育ててきたからではないでしょうか。
クリスの迫力ある表情にも,強いオスライオンとしての「自信」があらわれているように感じます。
目の前で見たクリスの瞳は黄金色でした。黒いたてがみとの対比が美しいですね。
クリスは少し臆病で,優しい性格です。とっても強いクリスですが,強いだけでなくさまざまな一面があるのでしょう。
そんな奥深い,百獣の王の紹介でした。
いしかわ動物園の情報誌『アニマルあいズ』
いしかわ動物園では,情報誌『アニマルあいズ』を発行しています。
動物園をとりまくいろいろな出来事を紹介し,みなさんとともに作りあげている普及誌です。「アニマルあいズ」という名前は動物たちの視点に立つ,という職員さんの気持ちがこめられています。
園内のお気に入り写真を送ろう!
いしかわ動物園に足を運んだ際は,園内で撮影したお気に入り動物の写真を『アニマルあいズ』に応募しましょう!誌面で紹介してもらえるかもしれませんよ(毎号一名)。
◎投稿方法
お名前,住所,電話番号,タイトルを明記の上,コメント(100~250字程度)を添えて下記アドレスまでメールで投稿してください。 採用の場合は,後日編集部の担当者より連絡があります。
◎アニマルあいズ編集部
[email protected]
バックナンバーは公式サイトをチェック!
おすすめの記事は2021年冬号の「初めてだらけのアルパカの繁殖」です。涙腺崩壊必至。
(いしかわ動物園公式サイト 情報誌『アニマルあいず』https://ishikawazoo.jp/eyes/index.html)
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文章・画像/名月子店(めいげつこてん)