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【VIVARIUM前編】上野動物園の“2大長老”って?どちらもこの施設で会えますよ♪珍しい生き物たちがいっぱいのビバリウム

「上野動物園で一番長生きしてる生き物って?」

今回はそんな疑問に答えるため、園内のある施設について紹介します。
その名も「両生爬虫類館VIVARIUM」

西園の一番奥、不忍池のほとりにあります。ここ、かつては水族館があった場所なんですよ。

館内では世界に生息する爬虫類や両生類のほか、魚や植物なども展示されています。

温室はまるで植物園のよう。生き物も来園者も、寒さを気にせず過ごすことができますよ。

ワニの仲間たち

二大長老の一匹。イリエワニ

(「ドン!」という効果音が聞こえそうなくらい、大迫力)

温室に入るといきなり「ギャー!」という、小さい子どもたちが泣き出す声が。

どうしたのだろう?と思って近づくと、世界最大のワニ、イリエワニがお出迎え!
これは子どもたちも驚きますよね。

上野動物園のイリエワニは「フック」くんといいます。
来園したのは1966年!推定年齢は57歳。園内で二番目に長寿の生き物です。飼育年数も、園内2番目。

(しっぽが身体の半分くらいあります。立派…!)

イリエワニは世界最大のワニ。フックくんの大きさは5mほどでしょうか。大きい個体だと、10mという記録もあるんですよ。

イリエワニの性格は、非常に獰猛で、強力な肉食動物として恐れられています。

そして、動くものなら何でも食べてしまいます!

動物園では、馬肉やコイ、ラットをそれぞれ週に1回与えているそう。
食事の回数は意外と少ないんですね。

また、イリエワニは爬虫類のなかで最も脳が発達していて、イヌやネコと同じくらいの学習能力があるといわれています。

驚きなのが、年をとっても聴覚を失わないといわれていること。人間にはない、耳の中の小さな毛の再生能力がその理由だそう。難聴の患者さんの治療に役立つかも、と、研究が進められているんですよ。

とってもかしこくて耳がいいフックくん。名前を呼んだら反応してくれるかも…?

イリエワニは、飼育されている個体で100年生きた記録があります。フックくんにもこれからまだまだ長生きしてほしいですね。

希少でかわいい、ニシアフリカコガタワニ

イリエワニのお部屋からしばらく進んで右手にいるのが、ニシアフリカコガタワニ。

全国の動物園で、繁殖技術の確立に向けて取り組んでいる希少なワニです。上野動物園では、2018年にふ化に成功し、6頭の赤ちゃんが生まれました。

飼育員さんは、卵を回収する瞬間は超緊張だったといいます。希少な生き物の繁殖が成功したことによるプレシャーと、卵に振動を与えるだけでも死んでしまう可能性があるからです。

無事に育ってくれただけでも本当に嬉しいことですね。
その後、何匹かの子どもワニは、京都や山口などの動物園へ旅立っていきました。

(ぷかり。)

ニシアフリカコガタワニは夜行性の生き物です。日中は陸上で日光浴をして過ごし、夜になると獲物を求めて水中に入ります。閉館前に行ってみると、水面にぷかりぷかりと浮いているかも。

イリエワニやニシアフリカコガタワニは、クロコダイル科に属しています。
クロコダイル科のワニは、吻(ふん=頭から鼻先まで)が短いため、笑っているように見えます。

ニシアフリカコガタワニは丸くて大きな目がかわいいので、ワニの中でもなかなかの人気者なんですよ。

少し難しい話。ニシアフリカコガタワニの繁殖の課題

ズバリそれは、オスが少ないことです。

2020年12月31日時点で、ニシアフリカコガタワニの日本国内の飼育状況は、10施設の21頭。そして性別は、オス4頭、メス12頭、5頭は不明という状況です。オスを増やすために、上野動物園の飼育員さんたちはさまざまな工夫をしました。

その一つが「オスが生まれる孵化温度を明らかにしてオスを増やすこと」です。

クロコダイル科のワニの中には、卵を温めるときの温度で性別が決まる種が知られています。「温度性決定」というメカニズムです。

先ほど紹介したイリエワニは、30℃でメス、32℃でオスが生まれることがわかっています。ニシアフリカコガタワニがこのメカニズムをもつかどうかはまだわかっていませんが、温度を管理することでオスを孵すことができるかもしれない、とのこと。オスはメスより高温で孵化する可能性があるのだそう。

2018年に生まれた子どもたちは、そうした温度管理のもと生まれました。
果たしてオスの子どもはいたのでしょうか?

カメの仲間たち

草?臭?その名の由来が気になる、クサガメ

(片足を水面にチョン…。お湯加減いかがですか?)

続いては「クサガメ」を紹介します。

特徴としては、メスはオスよりも大きく、首に黄色いストライプ模様が入ること。そして、成熟したオスは全身が真っ黒になることが挙げられます。

多くの人は「クサガメ」と聞くと、

「草を食べるカメ?」
「草の中に暮らすカメ?」

と思いますよね。

実は…「臭いカメ」という意味なんです…。

クサガメは捕まえられると、足の付け根にある臭腺(しゅうせん)から、臭いニオイを放つので、このような名前になりました。ちょっとかわいそうですよね…。

ちなみに、幼体は「ゼニガメ」と呼ばれます(幼体の名前のまま育ってくれ…!)。

二大長老の一頭。上野ズーを一番知ってる、ガラパゴスゾウガメ

上野動物園で一番の長寿なのは、ガラパゴスゾウガメの「太郎」くんです。

1969年に来園し、推定年齢94歳!園の最長老ですが、ゾウガメとしてはまだ壮年です。人間でいうと、働き盛りのサラリーマンくらいの年齢です(驚き!)。

ちなみに上野動物園にはもう一頭ガラパゴスゾウガメがいて(「カメ吉」くん)、飼育年数でいうと58年という、園内で一番の長さです。

最近、飼育員さんがTwitterで、
「冬は乾燥対策として、ガラパゴスゾウガメの足と首に、オリーブオイル(食用ではなく薬用)を塗っています。オイルが落ちてしまったら、また塗りなおします。刷毛で丁寧に…」
とツイートしていました。

肌の乾燥対策は、私たちにとっても、ガラパゴスゾウガメにとっても大切なのですね。
飼育員さんはとっても丁寧にオイルを塗っていて、太郎くんも嬉しいだろうな、と思います。

これからも園の長老サラリーマンとして、元気に長生きしてほしいですね。

トカゲの仲間たち

この美しいトカゲ、「すごい特技」持ってる!ガイアナカイマントカゲ

ガイアナカイマントカゲは、イリエワニのお部屋の近くにいます。

「ガイアナ」は、熱帯雨林が多い国。「カイマン」は、中南米に棲むワニの仲間です。ガイアナカイマントカゲはこの「カイマン」に見た目が似ているので、こう呼ばれているようです。

彼らは大きくなると、最大で120cmになることもあります。

このくらい大きくなった個体が水面付近を泳いでいると、ワニと間違えそうになるんです。自らをワニに似せ、外敵から身を守るために進化したのではないかともいわれています。

ガイアナカイマントカゲの体色は、赤~オレンジ色~黄色~緑色というグラデーションが、非常に美しいですよね。

しっぽは長くて平たく、泳ぎが上手です。
ガイアナカイマントカゲのお部屋は、水中の様子がとても見やすくて、飼育員さんの工夫を感じます。

そして陸地には、太陽光のように熱を出すランプが設置されていて、好きなときに陸に上がって体を温めることができます。

爬虫類は自分で体温調節をすることができないので、日光浴(バスキングといいます)ができるランプはとても大切な存在です。

ところで、ガイアナカイマントカゲの一番の好物は、巻貝です。

彼らは巻貝を食べるのが、すごく上手なんですよ。
その手順がこちら。

①巻貝を奥歯で噛み割る
②殻を口から出す
③貝の身だけを上手に飲み込む

やっぱり好きな食べ物は、上手に食べたいですよね。
(巻貝がバキバキと割れるところは、あまり想像したくない気持ちもありますが…)
ガイアナカイマントカゲは頭部と歯がワニのように発達しているので、このような特技を習得しました。

見つかったのは割と最近。チュウゴクワニトカゲ

(指がピタッとそろっていて可愛いです。)

チュウゴクワニトカゲは1929年、中国にある中山大学による調査によって発見された、新種のトカゲです。尾の形がワニに似ているので、この名がつきました。

野生の生息地は、標高200~1500mほどの水辺。結構高い場所でも生活していますよね。
彼らは昼間に活動し、水辺の木などに登ってよく日光浴をしています。

実はチュウゴクワニトカゲ、協調性があまりないため、基本的には単独で生活します。一匹でじ…っと日光を感じている様子、なんだか「我が道を行く」という感じで素敵ですね。

模様の規則性が美しい、ヒナタヨロイトカゲ

「両生爬虫類館VIVARIUM」前編の最後に紹介するのは、ヒナタヨロイトカゲです。その名の通り、全身がとげの鎧のような皮膚に覆われています。胴体の鱗には「キール」と呼ばれる筋状の盛り上がりがあります。

その鎧は尾にいくにしたがって、大きくとがっていることがわかります。もしかしたら、尾で敵を攻撃するのかもしれません。

ヒナタヨロイトカゲは、先ほど紹介したチュウゴクワニトカゲと、同じところと、反対なところがあります。

まず共通点は、「卵胎生」であることです。

爬虫類は卵を産む、というイメージが強いですよね。
でも、チュウゴクワニトカゲもヒナタヨロイトカゲも、「出産」をします。

つまり、お腹の中で卵を孵化させるんです。

ほとんどの爬虫類は「卵生」(卵を産む)なので、この2種類のトカゲは珍しい繁殖形態をとることがわかります。

次に相違点について。
それは、生活形態です。
チュウゴクワニトカゲは協調性がなく単独行動を好みますが、ヒナタヨロイトカゲは、複数匹のグループで生活をします。

するどい鎧をまとったヒナタヨロイトカゲが複数で固まっていれば、身を守るのに役立ちますね。

後編もお楽しみに!

上野動物園の“2大長老”と、「両生爬虫類館VIVARIUM」の珍しい生き物たちを紹介しました。
それぞれの生活の様子や、生態がお分かりいただけたと思います。
後編では、まだまだ魅力ある「VIVARIUM」のトカゲたち、魚、ヘビ、カエルを紹介していきます!

文章・画像/名月子店(めいげつこてん)

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