25.5 C
Tokyo
ホームREPORT【上野動物園】カバってなぜ...

【上野動物園】カバってなぜ毛が少ないの?なぜ肌がピンクなの?

先日の2月15日は、「世界カバの日」
SNSでは数々の動物園が、素敵なカバの写真をアップしていました。

筆者は上野動物園の西園で暮らしているカバの女の子、「ユイ」ちゃんに会いに行ってきました♪

(ユイちゃん)

愛媛県立とべ動物園で飼育されていたユイちゃんは、「ブリーディングローン(※)」によって、2015年6月に上野動物園にやってきました。

ブリーディングローンとは
繁殖を目的とした動物の貸借契約のこと。動物園間で動物を移動させることによって、積極的に繁殖を促進することを目的としています。

当時の上野動物園にはオスのカバ、「ジロー」がいましたが、残念ながら2022年3月に亡くなってしまい、現在はユイちゃんが一頭で暮らしています。

ユイちゃんは2023年2月時点で10歳7か月。
カバの平均寿命は40年~50年とされているので、まだまだ若いですね。人間でいうと成人したあたりの年齢です。

これから素敵なお婿さんが上野動物園に来てくれることを願っています。

カバって実は謎多き動物!

みんなが知ってるカバですが、その生態については、あまり知られていない部分も多く、現在も研究が続けられています。

筆者もユイちゃんを見ていて、「そういえばこれってなんで?」と思ったことがいくつかありました。

その答えを調査して、カバの生態に迫ってみようと思います。

なぜ毛が少ないの?

答え:水中で動きやすくするため!

そういえばカバって、ほとんど毛が生えていませんよね。

体毛は体温調節や皮膚を保護する役割があります。しかし、濡れてしまうと重たくなってしまうので、カバにとっては不便だったのです。

そして、カバは体毛だけでなく「汗腺」がないことがわかっています。つまり、汗をかきません

そのため、汗の代わりに表皮から油分を含んだ分泌液を出します。この液体は酸素にふれると赤く色が変わる(血液中に含まれる「ヘモグロビン」と同じ!)ため、「赤い汗」「血の汗」と呼ばれます。

(特にお顔周りがピンク色ですね。)

カバの皮膚にピンク色の箇所があるのは、この「赤い汗」が関係しています。

この特殊な分泌液には、肌を保護する効果があり、紫外線による日焼けや乾燥も防ぎます

さらに、傷を負った状態で泥水に入ってもその傷が化膿しにくいことから、抗菌の効果があるのではないか、ともいわれています。

カバの皮膚のことは、いまだ完全には解明されていません。これからどんな事実が明らかになっていくのか楽しみですね。

なぜ口が大きいの?

答え:相手を威嚇するため!

カバは最も強いオスがリーダーとなって、一つの群れを作ります。

リーダーを決めるためにオス同士が闘うのですが、その勝敗は「口の大きさ」で決まります。

相手よりも大きく口を開けた方が勝利です。

また天敵であるライオンなどの大型肉食動物にも、長く大きな牙を見せつけることで、身を守ることができます。

ユイちゃんは女の子なので、オスのカバよりは口を開けることは少ないのかもしれません。

なぜ足が短いの?

答え:わかりませんでした…。

カバは最大で2トンにもなる大きな動物なので、短い足で支えるのはちょっと重いんじゃないか?と思ってしまいますね。しかも意外と細い…!

加えて、カバは意外と俊敏で、短い距離なら時速40km(プロのロードレーサーの平均くらい)で走ることができます。

(ユイちゃんのあし)

カバは足の指が4本あり、真ん中の2本が大きく、蹄(ひづめ)があります。地面を蹴って速く進むのに適しているのですね。

なぜ水の中が好きなの?

(水中から出てこないユイちゃん)

答え:敵から身を守るため!&乾燥から肌を守るため!

カバの天敵のライオンは、水に濡れるのが嫌い。水中にいれば、カバは安全に過ごすことができます。

そのためカバは、交尾も子育ても全て水の中で行います。

しかし、カバが唯一陸に上がる時間があります。それはエサを食べるとき。
野生のカバが暮らすアフリカの川には水草が少ないためでしょうか、カバは陸上の草しか食べません。

天敵を避けて、夕方から夜にかけて陸に上がります。
そして夜が明ける前に、再び安全な水中に戻っていきます。このようなカバの習性は、「半夜行性」ということができます。

また、水中で過ごすことにより体温上昇や乾燥から肌を守ることもできます。

ユイちゃんも水の中が大好き。エサの時間以外は、ほとんど水中にいます。お客さんたちはユイちゃんが息継ぎのために顔を出すのを、集まってじっと待っていました。

ユイちゃんに会いに行ってみてください♪

カバのこと、少しわかってきましたね!

中でも筆者が一番驚いたのは、「赤い汗」のこと。人間の汗とは、色も役割もまったく異なるのですね。

カバにとっては、いわば「美肌クリーム」なわけです。

皆さんも、上野動物園のユイちゃんに会いに行って、じっくり観察してみてください♪

水中にいるときは焦らずじっと待ちましょう。
可愛くてピチピチの姿が現れるその瞬間まで…!

文章・画像/名月子店(めいげつこてん)

LATEST ARTICLES

安佐動物園のゾウ3頭は全員貴重!アフリカゾウのオスの現状と、マルミミゾウの繁殖、かつて日本...

前回の記事では、2属3種のゾウ(亜種含めると6種)の細かな違いについて解説しました。 今回は、その中でアフリカゾウとマルミミゾウを展示している「安佐動物公園」(広島県広島市)のゾウを紹...

【6種のゾウ】日本では全種に会える!見分け方を写真で解説。【アジアゾウ・アフリカゾウ・マル...

皆さんは「ゾウ」というとどんな姿を思い浮かべますか?大きくて、鼻が長くて、牙が生えていて…。 ゾウは大きく分けると3種類、亜種を含めると6種類もの種が存在するんですよ(絶滅した種を除く...

サンシャイン水族館でアオリイカの公開給餌を激写!模様が波打つイカ「コブシメ」も紹介。

サンシャイン水族館(東京都豊島区)ではさまざまなイベントが開催されますが、筆者は2023年6月、「アオリイカ」の公開給餌を目撃しました。 公開給餌が行われたのは、本館1階の「海...

雨の日のサンシャイン水族館。天空を見上げるペリカンとペンギン

今回は、「サンシャイン水族館」(東京都豊島区)でしか見られない生き物の展示方法を紹介します。 中でも屋外エリアの「マリンガーデン 天空の旅」では、まるで空を飛んでいるようなペンギン、高...

【多摩動物公園】インドサイ「ゴポン」とともにつくったトレーニング。その内容や目的に迫る!

今回は「東京都多摩動物公園」(東京都日野市)で行われているインドサイのトレーニングについて紹介します。 「インドサイ」といえば、硬い皮膚が特徴的で、体全体が鎧で覆われているように見える...

Most Popular

- Advertisment -

MAP

EVENT CALENDAR