皆さんはサファリパークに行ったことありますか?
筆者は先日、初めて「群馬サファリパーク」(群馬県富岡市)に行ってきました。
群馬サファリパークでは車かバスで園内を一周します。
一周でも十分に楽しめますが、筆者は有り余る気合いを胸に「3周」しました!
今回は、群馬サファリを3周する中でさまざまな姿を見せてくれた動物「ホワイトタイガー」を紹介します。
ホワイトタイガーのいきいきとした姿を見るためのおすすめ時間帯がわかるはず!
群馬サファリの楽しみ方
群馬サファリパークの楽しみ方はさまざま(詳しくは公式サイトをご確認ください)。
筆者は群馬サファリまでは公共交通機関で、園内ではすべてバスを利用しました!
1周の所要時間は約1時間30分。筆者は開園から閉園まで滞在し、園内バスに乗っていた時間は4時間30分くらいでした。
今回は3種類のバスに乗車。
①9:40(限定ツアー 1500円)
②12:40(エサバス 1500円)
③15:00(サファリバス 800円)
窓口で希望のバスと時間帯を伝えて、乗車券を購入。
奇跡的にすべての座席番号が「1」!一番前で動物のようすを観察できました。
1周目:ホワイトタイガーの横顔と後頭部
まずは4月に行われたチーターの赤ちゃん公開記念ツアーのバスに乗車(9:40発)。限定ツアーでも、メインの動物以外もしっかりガイドしてもらえます。
この記事の主役であるホワイトタイガーに会える場所は2か所!まずはバスで通る「猛獣ゾーン(ライオン・トラゾーン)」です。
猛獣ゾーンでは基本的に4頭2組のうち、1組のホワイトタイガーが生活しています。
オスのヴィエリ&メスのアル、オスのバズ&メスのメープル(親子)です。
※ヴィエリ&アルもメープルの子どもです。
今回はバズ&メープルのペアでした。でもメープルはどこかに隠れていて、バスガイドさんも「あれ?いないね~」と…。猛獣ゾーンは広いので、そんなこともありますよね。
11:30頃。オスの「バズ」くんです。
バズくんは丸太でできた高台がお気に入りの場所なんだそう。
ホワイトタイガーは、正式には「ベンガルトラ白変種」といいます。ベンガルトラのおもな生息地はインド亜大陸の森林。普段は草や木に隠れていますが、休んだり獲物を見つけたりするときは、見通しの良い高台に登るのが好きなのだそうです。
バズくんの立派な後頭部をお目見えしました。
ベンガルトラは暖かい地域のトラなので、寒い地域に生息するアムールトラよりは体毛が短いですが、頬から首の毛が長いものも多いです。首の毛は約6cm、頬の毛は8cmほど。
また、耳の後ろの白い模様は「虎耳状班(こじじょうはん)」というもの。虎耳状班は多くのネコ科動物に見られ、親子が一緒に歩くときに、迷子にならないための目印だといわれています。
バズくんはお母さんのメープルと一緒に展示されているので、虎耳状班が役に立っているかもしれませんね。
バズくんの紹介
バズくんは2017年7月31日生まれ。もうすぐ5歳になります。
バズくんは双子で生まれたのですが、もう一頭の名前は「ウッディ」。名前の由来はもうわかりましたね。
最初はお母さんのメープルにべったりだったそうですが、今ではかっこいい立派なオスに成長しました。
お母さんと遊ぶのは今でも大好きのようですね♪
2周目:Wild CATS World~肉を通したふれあい~
続いては、12:40発のエサバスに乗車。
自家用車も増えてきました。動物にエサをあげながら、ホワイトタイガーに会える二つ目の場所を目指します。
それは、バスを降りて進む場所、ウォーキングサファリゾーンの一角にある「Wild CATS World(通称「ワイルドキャッツ」)」です。
ワイルドキャッツは野生ネコ科動物の展示施設で、ホワイトタイガーのほかにもライオンやチーターをさまざまなアングルから観察できます。
今日はどのトラと会えるかな…。
オスのバッジョ&エール親子でした!
ワイルドキャッツでは飼育員さんがお肉を販売しているので、その場で購入してエサやりができます(500円くらいだったと思います)。
13:30~エサやり開始!
まずはバッジョ父さん。1日に7~9kgのお肉を食べるそうで、とっても身体が大きいです。
10cmくらいの距離だったので少し怖いですが、バッジョ父さんはとても優しく食べてくれました。これはどんどんお肉をあげたくなってしまいますね!
続いて息子のエールくん。お腹がすいていたみたいです。バッジョ父さんよりも元気にガブリ!
迫力あるかぶりつきっぷりでした。
エールくんは人工哺育で育ったので、人に慣れている感じがありました。お客さんがエサやり用の扉を開けるまで、じっと待っていたんですよ。
まつ毛が長くて、美男子ですね!
目はホワイトタイガー特有のアイスブルー。とてもきれいです。
ワイルドキャッツならこんなに間近でホワイトタイガーの目の色やまつ毛まで観察できますよ!
お肉にくぎ付けのエールくん。
優しいバッジョ父さんもどんどん食べてくれました。
水分補給も忘れずに!
日にもよりますが、夕方頃にはお肉の販売が終了していました。
開園時は寝ている子も多かったので、ワイルドキャッツに行くなら12時以降がおすすめかも!トラは基本的に夜行性なので、お昼に活発に行動しているのは珍しいですね。
ウォーキングサファリに滞在できるのは約30分(自家用車・レンタカーの場合は自由)。ほかの動物もたくさんいますが、ワイルドキャッツのある一番奥から楽しむのがおすすめです。
ちなみにウォーキングサファリゾーンの帰りに猛獣ゾーンを通ると、バズくんはお休み中でした。ワイルドキャッツのホワイトタイガーたちとは活動サイクルが逆になっているのかもしれません。
大きなピンクの肉球はバッチリ観察できましたよ♪
3周目:おすすめはこの時間!ホワイトタイガーの神々しい瞬間
最後は15:00発のサファリバス最終便。バスでのエサやりはできませんが、最も安く園内を楽しめるプランです。
土曜日に行きましたが、最終便だったからか乗車人数は筆者含めて3人!座席の指定はありましたが、バスが止まっている間なら席の移動ができました(バスガイドさんの粋な計らいです)。
16:00過ぎ ホワイトタイガー①
画像のように、猛獣ゾーンではホワイトタイガー①→ライオン→ホワイトタイガー②というコースで回るので、ホワイトタイガーを2回、別アングルで見ることができます。
バズくんはこの日初めて高台から降りていました!
夜行性のトラは、日が暮れる夕方頃から活動を開始します。
こちらに気づき、どっしりと歩いてきます。
全体的に厚みのある体格のバズくん。正面から見るとそれがよくわかりますね。
まだまだ近づいてきます。バス内の3人は静かに、でもとても盛り上がっていました。
群馬サファリでは1日に何台もの車とバスが通るので、バズくんはまったく物怖じしていないようす。
このままバスに乗車するのではないかとヒヤヒヤ(?)しましたが、1mくらいの距離のところでようやく停止。しばらくこのままだったので、ガイドさんもバスを停めてくれました。
バズくんを間近で観察して、ホワイトタイガーの縞模様について気づいたことがあります。
それは、顔の模様は黒いですが、身体からしっぽにいくにつれて茶色くなっていること!
ホワイトタイガーはベンガルトラの白変種ですが、「白変」の度合いは個体によって異なります。しっぽまで縞模様が白い個体、顔の模様も茶色っぽくて薄い個体、そして完全な白色種の個体は縞模様すらなく、真っ白なのだとか。
2023年3月15日、ホワイトタイガーのメス「アル」ちゃんが赤ちゃんを2頭出産したという嬉しいニュースがありました。
赤ちゃん2頭を比べてみてください。縞模様の濃さが明らかに違うことがわかります。このままの濃さで育つのか、それとも濃さが変わっていくのか、注目しながら成長を見守りたいと思います。
バスガイドさんによると、もうすぐ2頭の公開が始まるそうですよ♪
16:15 ホワイトタイガー②
いよいよ本当に最後。
バズくんは再びお気に入りの場所にいたようですが、バスに気づくなり「シュタッ!」と立ち上がり…
のそのそ歩き始めました。もしかしてまたこちらに来てくれるかも…!
なんとも神々しいバズくん。
額の模様がほぼ左右対称で、とても美しいですね。
バズくんはこちらに来ることなく、どこかへ去っていきました。
もしかしたら夜用のお気に入りスポットがあるのかもしれません。もしくは17時に閉園するので、それにあわせて寝室に帰っていくのでしょうか。
最終バスでとても活発なようすを見せてくれたバズくん。
毎日そうではないかもしれませんが、猛獣ゾーンのホワイトタイガーをバッチリ観察するなら15:00のバスがおすすめです!
ホワイトタイガーおすすめの時間帯は2つ!
今回は群馬サファリパークをバスで3周しました。
バスガイドさんに「3周もしたの!?」と驚かれ、3周もするのは珍しいとほめて(?)もらえました(笑)
群馬サファリのホワイトタイガーは昼行性タイプ(ワイルドキャッツ)と夜行性タイプ(猛獣ゾーン)がいましたね。
彼らのいきいきとした姿が観察できるおすすめの時間帯は、2つ!
①ワイルドキャッツでエサをあげるなら…
→12:00~13:00台に出発するバス
②猛獣ゾーンで自然の中のいきいきとした姿を見るなら…
→15:00出発の最終バス
どのバスに乗っても、ワイルドキャッツと猛獣ゾーンには行くことができます。
自家用車・レンタカーで入園する人はもっと時間の余裕があるため、例えばワイルドキャッツで1日中楽しんだり、猛獣ゾーンに滞在したりすることもできます(道をふさがないように!)。
楽しみ方は工夫次第
もちろんホワイトタイガーは毎日まったく同じ行動をとるわけではありません。こちらの思い通りの姿が見られないこともあります。
でもそのときは、ホワイトタイガーの寝顔を観察したり、足跡を探したり、飼育員さんやバスガイドさんに質問してみたり…楽しみ方は皆さんの工夫次第ですよ♪
今回かかった費用はズバリ…
合計14700円!
▼内訳はこんな感じ。
〇交通費(東京から往復):6000円※電車&タクシー(愛タク)
〇入園料:2700円(クーポン使用)
〇園内
・限定ツアー:1500円
・エサバス:1500円
・サファリバス:800円
・昼食:1200円
・お土産:1000円ほど
東京からの来園の際、参考にしてみてください!
ホワイトタイガーが生まれるしくみ
2023年5月現在、群馬サファリパークにいるトラは全頭、ホワイトタイガーです。
2021年3月22日に亡くなったベンガルトラのオス「バイト」くんが、唯一の黄色いトラでした。
日本のホワイトタイガーを含む世界のホワイトタイガーのほぼすべては、1951年にインド中央部で幼いころに捕獲された野生のトラ「モハン」(オス)の子孫であると考えられています。
モハンは黄色いトラでしたが、なぜホワイトタイガーが生まれたのでしょうか。
それは、モハンが「白変種の遺伝子」を持っていたからだといわれています。
トラの色を決めるのは遺伝子。黄色の遺伝子が強く(優性)、白色の遺伝子は弱い(劣性)とわかっています。通常、強い遺伝子が子孫へと受け継がれるため、弱い遺伝子は排除されます。理科の授業で「優性の法則」について習った人も多いと思います。
そのため、黄×黄の組み合わせからホワイトタイガーが誕生することは極めてまれなこと。
ただ、劣性遺伝子は形などに現れなくても受け継がれるので、モハンが白変種の遺伝子を持っていてそれが受け継がれていき、ホワイトタイガーが生まれる確率を近親交配により人為的に高めていったのだと思われます。
そうして生まれたホワイトタイガーたち。親のどちらかがホワイトタイガーであれば、黄×黄の交配のときよりもホワイトタイガーが生まれる可能性は高まります。
しかしそれでも、黄色の遺伝子の方が強いので、多くの場合生まれてくるのは「白変遺伝子をもつ黄トラ」。
最近だと、2021年9月11日に「しろとり動物園」(香川県東かがわ市)で生まれた双子のトラがこの例にあてはまります。オスの「ムク」は黄色ですが、メスの「ハク」は白色です。
そして、群馬サファリパークのように、白変遺伝子しか持たないトラ(ホワイトタイガー)同士であれば、生まれる子は必ず白変種(ホワイトタイガー)となります。
ホワイトタイガーは野生ではほぼ見られなくなりました。動物園で見ることができるのは本来とても貴重な機会。
皆さんも群馬サファリパークに行ったときは、ホワイトタイガーの名前や個性をじっくりと観察してみてくださいね。
—
文章・画像/名月子店(めいげつこてん)