近年話題を集めている「昆虫食」。
日本では古くからイナゴなどが食べられており、アジア、アメリカ、アフリカなどでは昆虫食は広く知られていますが、食文化の多様化により昆虫食は一般的なものではなく、いわゆる「ゲテモノ」として扱われるようになりました。
筆者自身、虫を食べたことはありません。
だからこそ気になり、行きました。板橋区立 熱帯環境植物館(ねったいかん)で2022年11月15日~11月27日に開催された「食べられる虫展」へ。
※企画は現在終了しています。
こちらの企画ではアジアで食べられている虫にスポットを当て、その生態やSDGsとの関係性についても解説されていました。
いったいどういった内容なのか。さっそく見ていきましょう。
昆虫食とSDGsの関係
これまでは「ゲテモノ」という認識だった昆虫食ですが、近年ではSDGsの目標達成に大きく寄与することがわかり、昆虫食専門のお店が登場するなどその認識は変わりつつあります。
SDGsとは2030年までに国連加盟の193か国が達成するために掲げた17の目標のことで、昆虫食は以下3つの目標達成のための重要なキーになるといわれています。
①気候変動に対する具体的な対策
→虫から排出される温室効果ガスは、タンパク質1㎏に対して1gと牛の約1/3000の数値です。
②陸の豊かさを守る
→虫はサイズが小さいため飼育環境の面積は小さくて済み、さらにエサや水の量も最小限に抑えられます。
③飢餓をゼロに
→人にとって重要な栄養素であるタンパク質の含有量は、100g中約70g。これは牛の約5倍の量に相当します。
展示の様子
展示スペースではアリ、コオロギ、ゴキブリ、セミ、タガメなどの虫たちが展示されており、壁一面にそれぞれ特徴や調理法、味などの解説だけでなく、展示協力をされた昆虫大好き芸人「堀川ランプ」さんの豆知識も掲載されていました。
読んでみるとタガメは塩茹でや唐揚げがおすすめで、繁殖期のオスは洋ナシのような香りを発することから料理の香りづけに使用されるといった驚きの内容も。
そして、展示スペースの一角では昆虫食の販売もされていました。
素のままのものからチョコレートコーティングしたものまで多彩な昆虫食が販売されており、筆者も記念にと「サソリチョコレート」を購入。試食してみることに。
サソリチョコレートを食べよう
見た目はサソリのシルエットとわかりますが、しっかりとチョコレートでコーティングされているため抵抗はありません。
そしてお味の方は、「細かく砕いたアーモンドが入ったチョコレート」という印象でした。
サソリ本体はしっかりと乾燥されているので、噛むと細かく砕けてそれがアーモンドのような食感を生み出します。そこにしっかりとコーティングされたチョコが合わさることで、慣れ親しんだお菓子のような感覚で食べられました。
カブトムシをそのまま食べよう
そして、スタッフさんのご厚意でカブトムシ(メス)も試食することに。
こちらはコーティングなどはなく、そのままの姿です。
初めての昆虫食。やはり少しの抵抗はありましたが、興味が勝りました。
そしてその気になるお味は……無味?
食感はザリザリとしていて虫独特の森の匂い、というのでしょうか。
味よりも風味が圧倒的に強いです。
乾燥させてあるので体液などもなく三回ほど噛めばあとはバリバリと食べられます。
総評としては、「結構いける」です。ほぼ無味ですので味の好みに関係なく食べられますし、調味料などを加えるなどいろいろなアレンジもできると思います。何よりも一つの体験としてもとてもおすすめです。
ただ、二つアドバイスがあります。
一つは一口でいくこと、もう一つは噛むほど細かく崩れて口の中に残るので、最後に流し込めるお水を用意しておくことです。
まとめ
板橋区は2022年5月にSDGs未来都市に選定されるなどSGDsへの取り組みが評価されており、取材先であるねったいかんはSDGsという言葉が広まる以前より、環境問題などについて楽しく学べる施設として地域の皆様に根付いていきました。
そして今回、その取り組みの一つともいえる「食べられる虫展」にて貴重な体験をさせていただいたことで、筆者自身が持っていた昆虫食に対する偏見が取り去られたという実感があります。
「食べられる虫展」の企画は現在終了していますが、ねったいかんではこのように楽しく、そして学びのあるさまざまな企画を定期的に開催しておりますので、ぜひ一度足を運んでユニークな体験をしてみませんか?
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文章・画像/政喜