前回の記事では、上野動物園の2大長老が鎮座する、「両生爬虫類館VIVARIUM」の生き物たちを紹介しました。
今回はその後編です。まだまだこんなに、面白い生き物が生活しているんですよ~!
トカゲの仲間たち(続き)
「ラクダトカゲ」 ヒョウモントカゲモドキ
ヒョウモントカゲモドキは、ヤモリの仲間。
英語名は「Leopard Gecko(レオパードゲッコー:ヒョウ柄のヤモリ)」で、通称「レオパ」とも呼ばれています。
黄色と黒のヒョウ柄模様が特徴的ですね。
野生ではインド北西部からパキスタン、イラン、アフガニスタン南東部にかけての、乾燥した岩場のある砂漠地帯に生息しています。
ヤモリの仲間ですが、壁に貼りつくことのできない地表棲(地面で暮らすこと)のヤモリです。
そして、太いしっぽには脂肪を蓄える役割があります。
同じく脂肪をため込む役割がある、ラクダのこぶに似ていますよね。
必殺「皮膚はがし」! グランディスヒルヤモリ
「ヒルヤモリ」は、多くの種がマダガスカルのみに生息しています。
グランディスヒルヤモリの体は鮮やかなエメラルド色で、鼻先から目にかけて、オレンジ色の線が入っています。
彼らは、基本的には樹上棲(木の上で暮らすこと)で、外敵に掴まれると、なんと自分の皮膚をはがして逃げるんですよ。
しっぽを切って逃げる「自切」は有名ですが、皮膚をはがすなんて…痛くないのでしょうか。
脱皮をするような要領で、自然と皮膚がはがれていくのかもしれませんね。
ちなみに目が大きくてぱっちりしているのは、多くのヤモリとは違って昼間に活動するからです。
この何とも言えない「微笑」にときめきました。
「VIVARIUM」に行ったみんなが立ち止まる!?グリーンイグアナ
「すごい見た目!」
「かっこいい!綺麗!」
そんな声が飛び交うのは、グリーンイグアナのお部屋です。
最大全長180cmにもなる、大型の爬虫類。
普段は水面に張り出した木の上で生活しています。
グリーンイグアナは、背中や喉、ほっぺたが特徴的ですよね。
それぞれの部位にはこんな名前がついています。
★クレスト:後頭部から背面にかけて発達しているたてがみ状の突起。
★デューラップ:喉のたるみこと。ブルドッグなどにも見られるものですね。
★鼓膜下大型鱗(こまくかおおがたりん):頬のこぶのようなもの。
これらはすべて、メスよりオスのほうが発達していて、敵を威嚇したり、求愛に使ったりする役割があるといわれています。
グリーンイグアナは温厚でおとなしく、とても賢い性格です。
それは瞳にも表れているように感じました。
すごく落ち着いた目をしていると思いませんか?
賢い彼は、自分を見てはしゃぐ人間たちを見て、何を感じているのでしょうか。
でっかいのに木の上生活。「コアラトカゲ」ならぬ「オマキトカゲ」
太平洋に浮かぶ「ソロモン諸島」という島々にだけ、住んでいる珍しいトカゲがいます。それがこのオマキトカゲ。
全長は80cmと、トカゲ科の中では最大の種です。
この長い尾を木などに巻きつけることができることから、英名は「Monkeytail Skink(サルのしっぽを持つトカゲ)」といいます。
基本的に体が大きく成長するトカゲは、大人になるにつれて地表棲になります。
でも、オマキトカゲは大きく成長しても樹上棲のまま。
まるでコアラのようです。
そして彼らは「完全草食性」でもあります。固い植物を食べるので、細かく鋭い歯が無数に生えていて、あごの力も強いです。
また、オマキトカゲの子は、母のふんから栄養をとるといわれています。その点も、コアラと共通していますね。
「龍魚」
このお魚は、中国の神話に登場する「龍」に似ていることや、中国で縁起が良いとされる金色や赤色をしていることにちなんで「龍魚」という呼称があります。
本当の名前は、アジアアロワナ。
今回出会ったのは、「スーパーレッド(血紅龍)」という種類。
アジアアロワナは、体色の異なる種類がいくつか存在していて、赤だけでもほかに「レッド(紅龍)」「チリ・レッド(辣辛紅龍)」がいるんですよ。
美しいうろこは、1つ2cmもあります。
光を反射した部分は金色に輝き、「泳ぐ龍の姿」を思わせてくれました。
「舌」で「見る」。V字の大蛇、ビルマニシキヘビ
ビルマニシキヘビは、最大全長823cmの記録があるニシキヘビです。
「VIVARIUM」館内の少し奥で、ゆったりと生活しています。
ビルマニシキヘビは頭部の斑紋が特徴で、アルファベットの「V」字状になっています。
トカゲのように、若いうちは木の上で過ごします。成長するにつれて体の大きさと重みで木に登ることが難しくなり、主に地上で生活するようになります。
ビルマニシキヘビの目はほとんど見えていません。彼らは舌を使って「におい物質」を感じ取り、あごの近くにある「熱感知器」を使って、獲物に忍び寄ります。
面白いのは、彼らの代謝能力。
安静時の代謝は落ち着いていて、大人なら何も食べなくても丸1年は生きていくことができます。
彼らは自分で体温を調節できない「変温動物」です。変温動物は、気温によって代謝が上がったり、下がったりします。でもビルマニシキヘビは、ある程度代謝をコントロールできます。
つまり、自分で体内のエネルギーを作り出したり、取り出したりできるということです。
それは産卵や食べ物の消化など、エネルギーを使うときに役立ちます。
次回は「カエル編」をお届けします!
上野動物園の「両生爬虫類館VIVARIUM」の面白いトカゲたち、魚、ヘビの仲間を紹介していきました。
次回は、苦手な人は要注意!でも、個性派ぞろい!
そんな魅力ある「カエル」の仲間たちについて、紹介していきます。
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文章・画像/名月子店(めいげつこてん)