今回は、愛媛県立とべ動物園の「サーバルファミリー」を紹介していきます。
サーバルはアフリカ大陸に生息している、ネコの仲間。小さな顔に長い四肢、すらっとしたその体格から“サバンナのスーパーモデル”と呼ばれることも。
とべ動物園には2023年3月現在、3頭のサーバルが生活しています。
サーバルがいる場所
サーバル舎は、サバンナエリアを右に曲がって、広場の右側にあります。
2023年2月2月25日のサーバルファミリーの様子をお届けするとともに、その生態に迫ります。
ワイルドな忍者、「セン」
センは、2009年2月21日に香川県白鳥動物園で生まれたオス。2014年4月にとべ動物園にやってきました。
サーバルの飼育下での寿命は約13~20年といわれており、現在14歳のセンは少しおじいちゃんになってきたところでしょうか。
名前の由来は、額の模様が「2本線」になっていること。キリっとした顔つきですが、瞳に優しさが感じられます。
性格はオスらしくワイルド。エサの鶏肉などを骨ごとバリバリと豪快に食べることもあったそう。
センの特技は…?
飼育員さんによると、センの特技は「気配を消すこと」。
来園者から「この獣舎には何もいないね。」と言われることがあるとのことですが、よく見ると、端っこにいることが多いですよ!
天気が良い日はずっとここで寝ている日もあるくらい、大好きな場所のようです。
深窓の令嬢、「ユカ」
2匹目はユカ。東京の羽村市動物公園で2013年11月に生まれ、2014年の9月にとべ動物園へ。現在9歳のメスです。
ユカは、アニメ「けものフレンズ」にメインキャラクターとして登場する「サーバル」の声優・尾崎由香さんと同名であることで話題になりました。
ユカの特徴は人間でいうなら「8頭身美女」。
サーバルの特徴であるスマートさ、しなやかさをさらに際立たせているような体形をしています。
ユカの性格は…?
飼育員さんによると、ユカを一言でいうならば「深窓の令嬢」。とっても上品なサーバルなんだそうです。
ユカの食事風景を例に挙げてみます。まずエサの前に静かに進み、そのうちの一つをくわえると、干し草を敷いた寝床まで持って行き、キーパーに背を向け食べ始めます。
飼育員さんが耳をすますと「コリコリ」と骨をかじるつつましい音が…。
上品なユカは、粘り強さも兼ね備えています。
新しいおもちゃをプレゼントすると、すぐに遊び始め、飼育員さんが心配になるぐらい遊び続けます。
気づいた時にはおもちゃが壊れていたこともあり、取り上げると粘り強く(しつこく?)探し回っていたのだそう。
センとユカは毎日アツアツ!
センとユカはペアとして一緒にいる時間が多く、この日もくっついてまったりしていました。
偶然かもしれませんが、センはお気に入りの場所をユカにゆずってあげたのでしょうか?だとしたら、やっぱりセンは優しいですね。
こっちを向くタイミングも一緒。
2014年から9年ほど一緒にいるので、息もぴったりですね。
セン&ユカのペアは、ワラや落ち葉の上で寄り添って、お互い毛繕いをし合う姿もよく見られます。
寒がりのユカを、センが温めてあげているのかもしれません。
人気投票1位!とべズーの看板娘、「ティア」
最後はティア。
2017年12月にとべ動物園で、センとユカの間に生まれた女の子です。
ユカは、ティアを含む三つ子を出産したのですが、残念ながらそのうちの2頭は亡くなってしまいました。ティアは人工哺育で、今日までたくましく育ってくれました。
一般公開前はこんなに小さかったんですよ。
この頃の体長は約40センチ、体重は1.7kg。外の世界に興味津々のようす。
ちなみにティアの名前の由来は、顔の模様が涙のように見えることから。チーターなどにも見られる「ティアーズライン」と呼ばれるものですね。
ティアーズラインには、太陽光の反射を抑える役目があるといわれています。同じような役割があるものとして、最近では野球選手が目の下に施していた「アイブラック」が記憶に新しいかもしれません。
ティアの特技は…?
ティアの特技はいたってシンプル!「遊ぶこと」です。
あっちのおもちゃで遊んだら、次はこっちのおもちゃと休む暇なく、いろいろな遊び方を見つけて遊んでいるそうです。
飼育員さんによると、気に入ったおもちゃを寝室に持ち帰り、遊び続けていたこともあったとか。
おてんばで、野性味あふれるティアちゃんです。
この日もお部屋を走り回り、木の上に登ったり、筆者の頭上に大ジャンプしたり。
ちょっとしっぽが上がっていたので、「もしや…」と思い、避難してしまいました(笑)
ティアの特徴
ティアは、2019年3月17日に行われた「とべZOOキャラクターAWARD」で、なんと第1位を獲得したんです!
生まれてからずっと、多くの人に愛されてきたティア。両親のセン、ユカに似て、かっこよく、美しいサーバルに成長しました。
元気いっぱいに猫っぽく可愛く動き回る姿は、多くの来園者の方たちを「愛顔(えがお)」にしてくれます。
サーバルについてのあれこれ
「サーバル」の名前の由来は?
「Serval(サーバル)」は、「猟犬」という意味のポルトガル語に由来するという説や、ラテン語で、「牡鹿(おじか)」を意味する語句に由来するという説などがあります。
また、かつてはオオヤマネコと呼ばれていたこともあったり、シカのようなオオカミともいわれることもあります。
サーバルの毛や色の特徴は?
サーバルの体毛は、短くて柔らか。
触ってみたくなりますが、サーバルはネコ科の肉食獣。性格は獰猛です。
また、首の後ろから肩にかけて、黒い線が入っています。斑点模様が特徴ですが、先にいくにつれて黒いリング状の模様になっているのが面白いです。
サーバルはいつ活動するの?
サーバルは、基本的に夜行性です。
ただ、ティアちゃんのように昼間に活動することもあります。
また、単独で生活することが多いですが、センとユカのように、ペアで行動することもあります。
サーバルの生息地はサハラ砂漠以南のアフリカ大陸。
ほとんどの生息地域では「食物連鎖の頂点」に君臨しているので、外敵は少ないといわれています。
サーバルの鳴き声は?
猫と同じように「ニャー」という声で鳴きます。とべ動物園でも運がよければ鳴き声を聞けるかもしれません。
サーバルって家で飼うことはできるの?
サーバルは、家では飼えない動物です。
2020年6月1日よりサーバルキャットは、愛玩目的等で飼養することが禁止されました。理由は「人に危害を加える恐れがある」ためです。
どうして耳が大きいの?
サーバルは、赤ちゃんのときから耳が大きく、体に対する耳の大きさは「ネコ科ナンバーワン」といわれています。
「猟犬」という由来からも、彼らが優秀なハンターであることがわかりますが、その大きな耳が狩りに役立っています。
サーバルはネコ科動物では珍しく、穴を掘って地中にいるネズミなどを捕まえる習性があります。彼らの聴力は、土の中に潜む獲物の音さえ聞き逃しません。
そのため、風が強い日などは逆に、うるさすぎて狩りができないともいわれています。
またサーバルはもう一つ「ネコ科ナンバーワン」な特徴があります。
それは体の大きさに対する足の長さです。
サーバルは走ることはもちろん、木登りや泳ぎも得意。水辺に逃げた獲物も捕まえられるほど運動神経が優れています。
そして、ジャンプも得意!高さ2m、距離4m前後のジャンプが可能です。
サーバルに会いに行こう!
とべ動物園では、サーバルの生き生きとした野性味あふれる姿を観察することができますよ。
3頭とも個性があって、それぞれ違う特技を持っています。
サーバル舎の近くではごはんを食べることができるベンチもあるので、休憩しながらサーバルの観察をするのもおすすめです。
皆さんもサーバルファミリーのセン、ユカ、ティアに会いに行ってみてくださいね♪
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文章・画像/名月子店(めいげつこてん)