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【激写】いしかわ動物園のアルダブラゾウガメ、なんとしてでも帰宅したい模様。ならば全力で観察と応援を!

いきなりですが、皆さんは「ゾウガメ」が歩いているところを見たことはありますか?

しかも、結構な速度で。

今回は「いしかわ動物園」(石川県能美市徳山町)で、家に帰りたくてしょうがないゾウガメの帰宅シーンをキャッチしたので、そのカメの生態とともにお伝えします。

カメたちがいる「カメたちの広場」

「カメたちの広場」は、「水鳥たちの池」と「バードストリート」のちょうど中間に位置しています。

一年中温かい温室のカメハウスの周囲には、ゾウガメなどの大型リクガメを放し飼いしている広場があります。

(放し飼いの広場。2022年11月の写真。奥に見えるのは寒さ除けのシェルターです。)

これまでいしかわ動物園では、寒い冬の間はリクガメの仲間を展示できませんでしたが、温室と行き来できる「カメたちの広場」ができたことで、年中観察できるようになりました。

ここではアルダブラゾウガメ、ケヅメリクガメ、インドホシガメなどさまざまな生息地域のカメたちを展示しています。

「カメたちの広場」はかなりにぎわっている

カメたちの広場の近くには「レストラン サニー」があります。広場は食事を終えて元気になった来園者でにぎわっています。

カメたちもまったりと食事を楽しんでいるので、穏やかな時間が流れています。

今回紹介するのは、広場でひときわ存在感を放つ人気者「アルダブラゾウガメ」

アルダブラゾウガメって?

アルダブラゾウガメは、インド洋の島国「セーシェル」の固有種。セーシェルでは法的に保護の対象とされ、生息地のサンゴ礁は、1982年に「アルダブラ環礁」として世界自然遺産に登録されています。

ガラパゴスゾウガメと並ぶ、世界最大級のリクガメの仲間で、こうらの長さの最長は138cm。体重は200kgを超えるものもいます。

また、セーシェルの気候はとても暑く、彼らは「薄明薄暮性」(明け方や夕暮れに行動が活発化する)の傾向があります。

いしかわ動物園のアルダブラゾウガメは3頭!

いしかわ動物園では、2023年4月現在、3頭のゾウガメを飼育展示しています。

彼らのうち2頭は、2014年2月に「のとじま水族館」からやってきました。

2016年10月に行われた「命名式」では、1170票もの応募があり、彼らの名前は最も多くの票(359票)を獲得した「アース」「ムーン」に決定しました。

飼育員の野田さんによると、2頭の見分け方は「項甲板」(こうらの先端にある甲板)の大きさの違い。

大きいほうが「アース」小さいほうが「ムーン」です。名前の由来になったアース(地球)も、ムーン(月)より大きいですもんね。

「見分けポイントがマニアックすぎる!」と職員に突っ込まれてしまったそうですが、実は「項甲板」以外にも微妙な違いがあるのだそう。

そして2016年3月、現在の3頭がそろいます。新しく仲間入りしたゾウガメは「黒豆」と名付けられました。この頃は甲長がまだ30cmほどしかない小さなゾウガメででした。ちなみに卵から生まれたときはもっと小さく、体長5cmくらい。「世界最大のリクガメ」たるアルダブラゾウガメも、小さい頃はとても可愛らしいんですよ♪

一方、この頃の「アース」と「ムーン」は70cm近くあり、体重も50kg。黒豆は彼らにつぶされないように、しばらくは同じくらいのサイズのカメと暮らしていました。

2018年11月の休園日、来園者からカメたちの体重を尋ねられたことをきっかけに、大型体重計を持ち込んで体重測定。すると、アースが85kg、ムーンが89kg、黒豆は30kgありました。

月が地球より大きくなった瞬間…!(?)

▼3頭の個性あふれるプロフィール(いしかわ動物園情報誌『アニマルあいズ』2022年夏秋号より)

アース(24歳・オス)
人懐っこい性格で、飼育員さんに首の下をなでられるのが好き。

ムーン(24歳・オス)
アースの兄弟。食いしん坊で、餌があると飼育員さんの長靴を踏みつけてでも進んでいく(痛そう…)。

黒豆(推定14歳・オス)
マイペースな性格。飼育舎へ帰そうとしても、広場のお気に入りの場所から動かないこともしばしば。

どうして大きくなるの?

アルダブラゾウガメの食事は、牧草を中心とした、小松菜や白菜など。

生まれたときに5cmの彼らが、どうして草や葉のみの食事で120cmを超えるまでに成長するのでしょうか。

いしかわ動物園情報誌『アニマルあいズ』の中にその答えがありました。

カメたちの広場担当の里見さんによると、実はアルダブラゾウガメは、発達した「盲腸」の中に微生物を飼っているのだそう。共生する微生物に植物を分解してもらうことにより、得られた栄養やエネルギーを利用し、ゾウガメは大きく成長することができるのです。

時刻は15時。ご帰宅の時間です。

2023年3月中旬、彼らに会いに行きました。

こちらは15時頃のようす。

なんとものどかで、各々が「やりたいことをやっている」という感じです。

まずはアースとムーンを見分けたいので、「項甲板」を観察したい…!

ですが、こっちを向いてくれなさそうな子が1頭…。代わりに足を観察します。

ゾウガメという名前は、ザラザラとしたグレーの皮膚と、足がゾウの皮膚にそっくりなことから付けられました。裏までゴツゴツしていて、人間が履く靴のようにも見えます。

ゾウガメの足の裏には適度なクッション性があり、重い体を支えます。大きい爪は歩行のほか、産卵用の穴を掘るのにも役立ちます。

そして、手前の子はマイペースに食事中。

奥の2頭とは少し、こうらの形が違うような…。アースもムーンも、少しこうらがゴツゴツしているので、まだなめらかなこうらのこちらは「黒豆」かもしれません。

ちなみにこうらのゴツゴツは、乾燥によって起こるといわれています。野生のアルダブラゾウガメは熱帯雨林で暮らしているので、ツルツルしたドーム状のこうらを持つ個体も多いです。

いしかわ動物園の「カメたちの広場」も、湿度の高い温室と行き来できる構造なので、こうらの乾燥を防ぐことができるかもしれませんね。

つぶらな瞳が可愛いです。

まったり観察していると、奥の1頭が動き出しました。彼が一番大きいように見えるので、「ムーン」でしょうか。

彼の視線の先には、温かいおうちの入口。寒さが苦手なアルダブラゾウガメは、この時間に帰宅するようです。

あっとゆう間に入り口前の坂に到着。結構速く歩くので驚きました。

(目の横の黒い部分が「耳」)

ゾウガメの耳には穴がなく、鼓膜が外にむき出しの状態になっています。周りのウロコとそっくりですが、実は柔らかくてデリケートな部分なのだそう。

ハプニング発生

(ジ…ッ)

彼は坂の段差の前で止まってしばらくじっとしたあと、こちらを見つめてきました。

もしかして、登れない…!?

筆者には応援することと、観察することしかできません。

彼の「鼻」を観察すると、縦長で細いことがわかります。彼らは鼻の穴から水を吸い上げて飲むことができます。

これは乾燥する季節に、浅い水場からも効率よく水を摂取するための進化なのだそう。

(観察後、「頑張って!」と応援中。)

彼目線だと、10cmくらいの段差ってとても高く感じそうですよね。意を決して、登るようです。

グッと足を持ち上げ…

着地成功!

▼ここまでの帰宅シーンを動画でも撮影しました。
https://youtu.be/CIBnJBviUDc

段差に足とこうらが乗ったとき、周りで見守っていた人たちがワァッと盛り上がりました。

その後は足取り軽く、帰宅していきました。

▼帰宅のようす
https://www.youtube.com/watch?v=IekUdlm9EzU

飼育員の野田さんによると、ゾウガメたちは日が落ちると寒くなる季節には、このように自分でおうちに帰っていくのだそう。

ですが夏の間は、外のほうが心地よいのか帰ってくる気配がないことも…。そこで、大好物の桑の枝を目の前に差し出しながら、自分で歩いて入舎させるようにしているそうなのですが、空腹でないとそっぽを向かれてしまうのだとか。なので午後の餌の量は、温度や天候、カメの気分をよく考えて決めなければならないようです。

今回「帰宅」したゾウガメがムーンであれば、飼育員さんの長靴を踏みつけてでも進んでいくというその「信念」を目撃した気がします。

段差の前に立ち止まって、乗り越えたとき、「なんとしてでも帰るんだ!」という強い気持ちを感じました。

その日の気温にもよりますが、皆さんもお昼~夕方あたりに「カメたちの広場」を訪れてみると、アルダブラゾウガメの「帰宅」を目の当たりにできるかもしれません。

そのときは彼らを信じて(?)じっと応援&観察してみましょう!

そして、いまだ帰宅の気配がないこちらの子は…

横に回ると、ちらっとこちらを見てきました。

『アニマルあいズ』のアースの写真とそっくりなので、こちらがおそらく「アース」だと思います。

▼おまけ。隣のホウシャガメの帰宅も見届けました。
https://www.youtube.com/watch?v=RE9gyazDZ70

(帰宅後はみんなで休息♪)

 

開館時間・入園料

開園時間

期間開園時間
4月1日から10月31日午前9時~午後5時
11月1日から3月31日午前9時~午後4時30分

入園できるのは閉園時間の30分前まで

休園日

• 火曜日(火曜日が祝日の場合はその翌平日が休園日となります)

• 年末年始 12月29日~1月1日トップページの「開園カレンダー」もご確認ください。

入園料

区分個人30名以上の団体
一般840円740円
3歳以上中学生以下410円310円

※入園料は税込みです。「現金」,「クレジットカード」,「電子マネー」をご利用できます。
※保育園,幼稚園,小学校,中学校の行事で入園される場合は減免制度がありますので、お問い合わせください(入園料が410円から200円に減額されます)。
※ベビーカー/生後1カ月~24カ月用(1回100円),車いす(無料)も貸出ししています。
その他禁止事項や年間パスポートについてなど,詳細は公式サイトをご覧ください。https://www.ishikawazoo.jp/information/time/index.html

いしかわ動物園 <ISHIKAWA ZOO>
〒923-1222 
石川県能美市徳山町600番地
TEL:0761-51-8500  
FAX:0761-51-8504  
E-mail:[email protected]

文章・画像・映像/名月子店(めいげつこてん)

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