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群馬サファリの「エサバス」はこう楽しむ!~人は誰でも動物研究者になれる~

皆さんは動物にごはんをあげたことはありますか?
動物にごはんをあげるとき、どんなことを考えていますか?

今回は「群馬サファリパーク」(群馬県富岡市)の「エサバス」を体験してきました!

「食」を通じて動物と触れ合うことで、さまざまな発見がありましたよ♪

群馬サファリの「エサバス」について

(エサバス「パックン号」)

エサバスでは、バスの中からエサをやりながら、各ゾーンを巡っていきます。所要時間は1時間20分ほど。

まずは乗車券を購入。料金は一人1500円(3歳~)です(入園料金が別途必要)。

その日の乗車券は当日に購入します。

▼購入の際、希望の時間のバスを係員さんに伝えてください。

(平日)
10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 14:30

(休日)
9:40 9:50 10:20 10:40 11:10 11:20 12:20 12:40 13:10 13:30 14:00 14:20 14:40 15:00 

(一番前の席をゲット♪)

筆者は2023年4月22日、12:40のエサバスに乗車しました!

出発の10分前にはバス乗り場に行きましょう。乗車前にガイドさんから青草が配られます。

(青草はスタッフさんが手作業で束にしてくれています。結構時間がかかる作業だそうなので、丁寧に扱いましょう。)

いざ出発です!

(このゲートが開く瞬間はワクワクドキドキです。)

 

なぜシマウマは強いの?

ガイドさんからもらった青草を握りしめ、最初のエリア「アフリカゾーン」へ。

まずは、大型のウシ科動物「エランド」と、サバンナシマウマの亜種「チャップマンシマウマ」にごはんをあげることができます。

見てください。筆者はえさをあげるのがすごく下手ですよね…。
青草が網をうまく通らず、エランドたちを待たせてしまうことがありました。そして、次の青草を準備するタイミングと、エランドが青草を食べたいタイミングを合わせるのが難しかったです。青草がバスの床に落ちてしまうことも。ちゃんと口元まで持っていけるよう、練習が必要ですね…!

四苦八苦していると、ガイドさんからこんな説明が。

「今はエランドがたくさん集まっていますが、チャップマンシマウマが来ると逃げていきます。シマウマはエランドより強いんですよ。」

(ガイドさん)

驚きました。シマウマよりエランドの方が大きいように見えるのに、どうしてシマウマの方が強いんだろう?と思ったからです。

そこで、3つの観点から、シマウマの方が強い理由を探ってみました。

①身体の大きさは?

エランドとチャップマンシマウマの体高、体長、体重をまとめました(数字は「Wikipedia」より)。

全体的にエランドの方が大きいですね。エランドのメスよりはチャップマンシマウマの方が大きいですが、それでも体重はエランドには及びません。

チャップマンシマウマはずんぐりした足の短い種類のシマウマなので、体高が低く、エランドより小さく見えます。

そのため身体の大きさだけでいうと、エランドの方が強そうです。

②食べ物は?

動物は食べ物が同じだと、それをめぐって争いを起こすことがあります(草食動物は、肉食動物ほど食べ物に困ることはないので、争いは起こりづらいですが…)。
エランドとシマウマの食べ物は同じなのでしょうか。

エサバスでは同じ青草をあげるので、食べ物は同じじゃない?と思いますよね。

でも、シマウマよりエランドの方が青草への食いつきがよかったので、もしかしたらシマウマはあまり青草を食べないのかも…?

答えは逆です。
実はエランドの主食は草ではありません。

エランドの主食は、木の葉や枝。逆にシマウマは、地面に生える短い青草を主食とします。

そのため「食べ物」という観点では、二者の間に強弱は生まれないと推測します。

ではなぜシマウマは、あまり青草を食べないのでしょうか…。

③性格は?

二者の性格は、強弱を分けるのでしょうか。

エランドは、大人しくて温和な性格です。もちろん個体によって差がありますが、さまざまな動物園の情報を見ると、人懐っこくマイペースで、あまり自己主張をせず、物おじせず、食いしん坊…などの特徴がありました。

一方シマウマは、気性が非常に荒くて警戒心が強い性格!驚くと、考えるより先に走ったり、蹴ったり咬んだりする個体も…。

エランドよりシマウマが強い理由は、その性格にあると結論付けて間違いなさそうです。シマウマは「怒らせるな危険!」なんですね。

(しれっと紛れるシマウマさん)

加えてシマウマは、人に懐きません。例えば乗馬用の馬のように、人を背中に乗せるなんてもってのほか!

チャップマンシマウマがエサバスにあまり寄り付かないのは、人の手からごはんを食べる性格ではないからだったんですね。

(仲良しの2頭?)

群馬サファリの展示場では2023年4月時点で9頭のチャップマンシマウマが生活しています。

飼育員さんによると、その中でも仲良しグループが決まっていて、基本的にグループで行動を共にしているそう。

公式ブログに、それぞれのグループの紹介があるので、興味がある人は調べてみてくださいね。

アメリカバイソンはなぜあんなに大きいの?

続いて「アメリカゾーン」へ。

(バスで水辺を「ザブン!」と渡ります。)

バイソンがいるエリアは水辺やゴツゴツした坂を通るため、車では入れず、バスでしか行くことができません。

赤ちゃんもいました。2023年2月時点で4頭。

(どんどんバスに集まってきます。)

「アメリカバイソン」は、北アメリカで暮らすウシ科の動物。エサバスでほぼゼロ距離まで近づくと、お客さんから口々に「でかい~!」の声が。

それもそのはず!アメリカバイソンの大きさは…

・体長:黒板(360cm)くらい!
・体高:バスケットボール選手(2m)くらい!
・体重:65kgの成人17人分(1t)近く!

「でかい~!」ですね。

何十頭もいるアメリカバイソン。飼育員さんによると、その見分け方は、「角の生え方」

正面から顔を見てみると、結構個性があるみたいです(公式ブログで紹介されています)。動物がたくさんいても、すべての動物に名前がつけられているのは、群馬サファリが動物に愛情を注いでいる証ですよね。

横から見ても、角の曲がり方が違っていることが分かります。

筆者がごはんをあげたバイソンはこの子。ほかの子より身体が大きく、肩や顔がとても立派だったのでオスだと思います。そして角は綺麗に左右対称。
公式ブログにある「カット」君でしょうか?

少しエサやりが上達しました。干し草を一気に食べているバイソンを見て、草を束にしてあげてみました。カット君?は舌を器用に使って食べてくれました。目がとてもきれいで、近づくほどその優しい表情がわかります。

そして、エランドよりもたくさん食べてくれました!アメリカバイソンの主食は、青草をはじめとする草類や木の葉です。

ところで、バイソンは草しか食べないのにどうしてあんなに筋肉もりもりなのでしょうか。青草などの草に含まれる約10%のアミノ酸のうち、筋肉を作れるアミノ酸は約30%しかありません。草だけ食べていても、筋肉が増えていくとは考えづらいですよね…。

バイソンは実質「肉」を食べている!?

(歯並びがいい…!)

バイソンの体内には、大量の「筋肉を作る微生物」がいます。

(農林水産省ホームページより(https://www.maff.go.jp/j/chikusan/kikaku/lin/natsu_zora/

バイソンなどのウシ科動物は、胃が4つに分かれています。食べた草はこんなルートをたどります。

①第1胃「ルーメン」胃全体の80%もある大きな第1胃の中へ!ここに多くの微生物がいて、草の主成分である「セルロース」を分解。そして、筋肉を作れないアミノ酸を筋肉を作るアミノ酸に変える
②第2胃「蜂巣(はちのす)胃」:ポンプの役割。第1胃では消化しづらい食物を、食道や口まで押し戻す。
③第3胃「葉状(ようじょう)胃」:食物を選別しながらすりつぶす。
※①~③を繰り返すことを「反芻(はんすう)」といいます
④第4胃「しわ胃」:人の胃のように胃液を分泌して、微生物を消化・吸収。筋肉をつくるアミノ酸として利用する。

バイソンの胃では、植物を消化する前に、微生物が「筋肉を作れるアミノ酸を増やす」という驚きの秘密が隠されていました。

これは、ほぼ肉を食べているのと同じ。植物はバイソンにとっての「肉」なのですね。

(夕方頃にはお腹いっぱい。)

 

百獣の王ライオンは、実はとても優しいのでは?

最後は「ライオンゾーン」

ゲートの看板を見ると緊張感が走ります…!

「アフリカライオン」に鶏肉と馬肉をあげます。トングごとガブッと持っていかれたりしたらどうしよう…。

堂々とたたずむオスライオン!迫力満点です。

今回筆者のもとに来てくれたのはこの子。オスの「エルナト」君です。のちに筆者の「推しライオン」となるエルナト君ですが、このときはかなり怖かったです。

トングのかなり先っぽでお肉を掴んで、恐る恐るエルナト君へ…(写真を撮る余裕もなく…)。いつ食べてくれるのかな?とプルプルしながら待っていると…

あれ?もうお肉がない!
一瞬フワッとした感触があったので、もしかしたらそのときに食べたのか…?

2口目で確信しました。エルナト君は、トングに歯を当てずに、非常に優しくお肉を食べている…!
ライオンの「優しさ」に初めて触れた瞬間でした。

 

ライオンは「イエネコ」に似ている!?

英エディンバラ大学と米ニューヨークのブロンクス動物園による共同研究によると、実はアフリカライオンは「イエネコ」に最も性格が似ているとの結果が出ています。

ただ、似ているのは「支配性」や「衝動性」、「情緒不安定性」だそうなので、「優しさ」が存在するかは分かりません。

そこでライオンの生態を考えてみます。ライオンは「プライド」と呼ばれる群れで生活するのですが、子育てや狩りはメスが行い、オスは1日のほとんどを寝て過ごします。

群れのリーダーはオスですが、メスから「弱い」と判断されると、強いオスにメスを取られてしまいます。オスはメスよりも狩りが下手なので、メスから「強い」と思われ続けないと生きていけないことも。

動物園でも、メスに頭が上がらないオスが多いとか。そのため、ライオンのオスは「女の子」には優しいのかもしれません(?)。

エルナトの優しさ

ライオンゾーンには約20頭のライオンがいるのですが、中でも一番見分けやすいのがエルナト君です。

エルナト君は、2018年5月16日に生まれた4兄弟のうちの1頭。先日5歳になったばかりですね。

(じゃれ合う兄弟)

その名前は兄弟のレグルス、ラサラス、スピカとともに星座の名前が由来となっています。「エルナト」は、おうし座の角の先にある2番目に明るい星。

エルナト君は小さい頃、けんかでけがをしてしまったため、右目が白くなっています。生活に不便なこともあるかもしれませんが、筆者にはその名の通り、星のように綺麗な目に見えました。

そのような経験から、エルナト君は争いを避けるような、優しい性格に育ったのかもしれませんね。

これからもエルナト君が不自由のない生活を送れるように、陰ながら見守っていきたいと思います。

(「落ちてる」ライオンさん)

 

「エサバス」の楽しみ方

群馬サファリパークではさまざまな楽しみ方ができますが、中でも「エサバス」は、動物に超接近しながら、ごはんをあげることができるおすすめのプランです。

人と人は食事を通して仲良くなりますよね。動物と人もそうだと思います。自分の手から動物がごはんを食べてくれる瞬間は、とても嬉しい!動物と仲良くなれたように感じます。

そして、ごはんを通じて動物と触れ合うことで感じたことを残しておいたり、疑問を調べてみたりすることでさらに理解が深まります。

皆さんも群馬サファリパークの「エサバス」で、動物研究者になってみてくださいね♪

(エサは追加購入もできますよ!)

文章・画像/名月子店(めいげつこてん)

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