コアラを飼育している動物園は、日本全国に7園のみです。※2021年4月現在
初めてコアラが来日した1984年にコアラブームが起き人気になりましたが、繁殖が簡単ではないこと、エサであるユーカリが高価なことから、飼育する動物園が7園のみとなっています。関東地方でも3園のみと、なかなか出会うことできない動物です。
コアラを飼育している動物園
・埼玉県「埼玉県こども動物自然公園」
・東京都「多摩動物公園」
・神奈川県「金沢動物園」
・愛知県「東山動植物園」
・兵庫県「神戸市立王子動物園」
・兵庫県「淡路ファームパーク イングランドの丘」
・鹿児島県「平川動物公園」
※全て日本動物園水族館協会(JAZA)加盟の動物園です。
※大阪府「天王寺動物園」では2019年まではコアラの飼育を行っていましたが、ヨーロッパでの繁殖計画に協力するため、イギリスの動物園へ貸し出し中です。(日本に戻る可能性は低いとされています)
コアラの来日とコアラブーム
初めてコアラが来日したのは1984年10月25日です。オーストラリアのタロンガ動物園からコアラ6頭が贈られ、東京都「多摩動物公園」、愛知県「東山動植物園」、鹿児島県「平川動物公園」の3園で2頭ずつ飼育開始、11月より一般公開しました。
愛くるしい見た目が人気となり”コアラブーム”を巻き起こし、コアラの初来日にちなんで開発・発売されたロッテのお菓子「コアラのマーチ」も大人気となりました。
飼育する動物園が増えない理由
■繁殖が簡単ではない
他園と貸し借りして繁殖を行ない成果を挙げており、繁殖ができない訳ではありません。しかし、同系統(北方系、南方系)のコアラとしか繁殖ができないこと、母親の腹部にある育児のための袋の中で成長途中で死んだり、袋から落下して死んだりする事例が多くあることなどから、繁殖は簡単ではありません。
■エサ代が高価
ユーカリの葉がとても高価です。動物園はユーカリの栽培を農家や森林組合などに委託していますが、ユーカリ栽培は天候に左右されるため日本での栽培が難しく、高額な栽培委託費がかかります。コアラ1頭で年間2,000〜3,000万円ほどかかると言われているため、その維持費の高さから飼育が困難となっています。
コアラについて
オーストラリア東部の森林地帯やユーカリの林などに単独で生息する、カンガルー目コアラ科コアラ属の動物。
■食べ物
食べ物は、ユーカリの葉。約600種類あるユーカリのうちごく僅かな種類で、それぞれの生息地域により異なります。コアラは、先住民族アボリジニの言葉で「水を飲まない」という意味で、ユーカリの葉から水分を摂取しています。
■特徴
・体の色:背面は灰色、腹面は白色、体長:約65〜82センチ、体重:約4〜15キロ(体の大きさが小型の北方系と、大型の南方系に分類できる)
・ユーカリの葉には青酸という毒素が含まれており、分解して消化吸収するため発達した盲腸と肝臓を持つ。
・樹上での生活に適応した、鋭い爪と枝を握ることができる手指を持つ。
・カンガルーと同じ有袋類で、メスは腹部に育児のための袋を持ち、未熟な仔を産み袋の中で育てる。
・睡眠時間が長い。ユーカリにあまり栄養がないこと、消化吸収に多くのエネルギーを消費することから、エネルギーを蓄えるために1日約18〜20時間も寝ている。